ＦＸ（外国為替証拠金取引）とは

ＦＸ（外国為替証拠金取引）とは、外国為替を投資対象にした金融商品です。ＦＸの最大の特徴は証拠金です。預け入れた資金で取引をせず、預け入れた資金は証拠金とし、取引代金とは別に扱われます。

分けて考えればＦＸは外国為替の取引と証拠金という制度が組み合わさったものなのでその両方を知る必要があります。

外国為替の取引は日本なら通貨は円です。日本人にとって一番メジャーな外国通貨であるアメリカドルとの取引を例にとります。

1ドル120円の為替なら、1ドルを買うためには120円必要になります。

1ドル120円は一定ではなく、常に変動しますので1ドルが121円の為替になった場合。120円の時に買ったドルを再度、日本円に戻せば121円になります。

この差額１円を利益とするのが為替で儲けるということなのです。そして証拠金は小額の資産で大きく運用するための制度で、例えば手持ちの10万円の資金を何倍もの資金に変えて運用することができます。

何倍かというのは別名レバレッジと呼ばれますが、そのレバレッジが25倍だとすれば手持ちの資金10万円は証拠金とされ、為替取引の運用金額は10万円×25で250万円になります。

この250万円を運用するのですから手持ちの資金が少しでも大きな運用ができるようになるのです。

このように同じ手持ち資金10万でも、利益が上記のように大きく違ってきます。ただし、逆に１ドル１１９円になった場合、同じようにマイナスが大きくなることもあるのでハイリスク・ハイリターンの取引となります。

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FXの重要なポイント

取引に慣れることで、利益を上げるチャンスが広がりますが、同時にリスクも大きくなるため、慎重に取引することが重要です。

1. 為替レートの変動: FXの利益は、通貨の価値が上がったり下がったりすることに依存します。これを予測して取引するわけです。
2. 24時間取引可能: FXは、平日24時間取引ができるため、時間帯に関係なく取引を行うことができます。
3. リスク管理: レバレッジをかけることで、大きな利益を得ることができる一方、損失も大きくなりやすいため、しっかりとしたリスク管理が必要です。

通貨ペアと取引の基本

FXでは「通貨ペア」を取引します。通貨ペアとは、2つの異なる通貨を組み合わせたもので、1つの通貨を別の通貨に対して取引する形になります。

例えば、｢ドル/円（USD/JPY）は米ドルと日本円を対にして取引するペアです。

基軸通貨（最初の通貨）と 決済通貨（2番目の通貨）で構成されます。

• 基軸通貨（Base Currency）：通貨ペアの最初に書かれている通貨。たとえば、USD/JPYであれば、USD（米ドル）が基軸通貨です。
• 決済通貨（Quote Currency）：通貨ペアの後ろに書かれている通貨。USD/JPYの場合、JPY（日本円）が決済通貨です。
  • 例えば、USD/JPYの場合、USD（米ドル）が基軸通貨、JPY（円）が決済通貨です。
  • もし、USD/JPYのレートが110.00だとすると、1米ドルは110円で交換されることを意味します。

FXの取引方法

信頼性や手数料、使いやすさなどを考慮して証券会社を選択し証券会社の口座に取引を行うために証拠金を入金して口座開設します。

取引量や市場の安定性、ニュースなどを考慮した通貨ペアを選択し買い、売りのポジションを選択します。

• 買い（ロング）: 例えば、USD/JPYのレートが110円のときに、1米ドルを110円で購入（買い）します。数時間後にレートが110.50円に上がった場合、1米ドルを110.50円で売却すれば、その差額0.50円が利益になります。

• 売り（ショート）: 逆に、USD/JPYのレートが110円のときに、1米ドルを110円で売却（売り）します。数時間後にレートが109.50円に下がった場合、1米ドルを109.50円で買い戻せば、その差額0.50円が利益となります。

注文方法はいくつかあり成行注文、指値注文、逆指値注文などがあります。

• 成行注文：現在の為替レートで即時に取引を行う。
• 指値注文：指定した価格になったときに取引を行う。
• 逆指値注文：指定した価格に達したら取引を行う（損切りや利益確定に利用）。

レバレッジ

FXの魅力的な点の一つは「レバレッジ」を使えることです。レバレッジとは、手元にある資金（証拠金）を元に、より大きな取引ができる仕組みです。

例えば、レバレッジが10倍の場合、10万円の証拠金で100万円分の取引をすることができます。レバレッジを使うことで、少ない資金で大きな取引が可能になりますが、その分、リスクも増大します。

【レバレッジの計算】
例えば、1ドル=110円のレートで1000ドルを取引する場合、証拠金として10万円（レバレッジ10倍の場合）が必要となります。1ドルが110.50円に上昇すれば、0.50円の利益となり、証拠金に対して約5％の利益が得られます。

各国や証券会社によって、レバレッジの最大倍率は異なります。日本では個人投資家向けのFX取引で、金融庁が最大レバレッジを25倍に規制しています。

• 国内取引：最大25倍
• 海外取引：最大1000倍以上の提供もある（ただしリスクが高い）。

スプレッドと手数料

FX取引には、スプレッドと呼ばれる取引コストがかかります。スプレッドとは、通貨ペアの「買値（ビッド）」と「売値（アスク）」の差です。例えば、USD/JPYの買値が110.00円、売値が110.02円だとすると、スプレッドは0.02円になります。この差が取引のコストとなります。

• 手数料: 一部のFX業者では取引ごとに手数料がかかることもありますが、スプレッドが手数料代わりに適用されることが多いため、スプレッドの広さが重要になります。

【具体例】

• 買値（Ask）：135.01円
• 売値（Bid）：135.00円
• スプレッド：135.01 – 135.00 = 0.01円（1銭）

取引を始めると、スタート時点でこのスプレッド分のコストが引かれた状態になります。

そして、プレッドが狭い（小さい）ほどコストが安いという事になります。

会社によってスプレッドの設定が違いますのでスプレッドが狭いFX会社を比較して選びましょう。

また、USD/JPY（ドル円）やEUR/USD（ユーロドル）など、取引量が多い通貨ペアはスプレッドが狭い傾向があります。

為替レートの影響要因

為替レートは、通貨の価値を他国通貨と比較したもので、様々な要因によって変動します。以下に、主な影響要因を詳しく解説します。

1. 経済的要因
(1) 金利政策
中央銀行の金利政策は、為替レートに直接影響を与えます。

例えば金利が上がる（利上げ）と、その国の通貨が魅力的になり、通貨高（価値が上がる）になる傾向があり金利が下がる（利下げ）と、その国の通貨の魅力が低下し、通貨安になる傾向があります。

(2) 経済指標
経済指標は、その国の経済状況を示すデータで、為替相場に大きな影響を与えます。

雇用統計：非農業部門雇用者数（NFP）は重要視されます。好結果は通貨高につながることが多いです。
GDP（国内総生産）：高い成長率は通貨高につながる可能性があります。
インフレ率（CPI）：高いインフレ率は金利上昇の可能性を示し、通貨高につながる場合があります。

2. 政治的要因
(1) 政策変更や選挙
選挙結果や政府の政策変更は、投資家心理に影響を与えます。安定した政府は通貨にとってプラス要因です。経済成長への期待から通貨を押し上げることがあります。

(2) 地政学的リスク
戦争、紛争、テロ、大規模な自然災害などの不確実性が高まると、安全資産（例：米ドル、円、スイスフラン）への需要が増加します。

3. 市場の需給バランス
為替市場は需給によって動きます。通貨の「買い手」と「売り手」のバランスが変化すると、為替レートも変動します。

(1) 貿易収支
貿易黒字：輸出が多い国では、自国通貨の需要が高まり、通貨高になる可能性があります。
貿易赤字：輸入が多い国では、外貨が必要となり、通貨安になる可能性があります。

(2) 資本移動
外国からの直接投資や証券投資が増えると、その国の通貨が買われ、通貨高につながります。

4. 市場心理と投機
(1) リスクオン・リスクオフ
リスクオン：投資家がリスクを取る姿勢（例：株式市場が活況） → 高金利通貨や新興国通貨が買われる。
リスクオフ：安全を求める姿勢（例：市場不安） → 安全資産（例：円、スイスフラン）が買われる。

(2) 投機的な動き
大口投資家やヘッジファンドの動きが為替市場に影響を与えることがあります。一部のニュースや噂で市場が大きく動くこともあります。

5. 国際情勢と外部要因
(1) 原油価格や資源価格
資源輸出国（例：カナダ、オーストラリア）の通貨は、資源価格の変動に敏感です。原油価格が上昇すると、これらの国の通貨が上昇することがあります。

(2) 通貨政策
中央銀行が直接市場に介入して通貨を買ったり売ったりすることで、為替レートを調整することがあります（為替介入）。

それ以外にも観光や企業活動など為替レートに影響することは数多くあり様々な要因が複雑に絡み合って動きます。そのため、経済、政治、国際情勢を総合的に理解することが、為替市場を予測する上で重要です。

リスク管理

FXでは、利益を得るチャンスが多い一方で、大きなリスクも伴います。リスク管理は、利益を追求しながらも、損失を最小限に抑えるための重要なスキルです。以下に、リスク管理の具体的なポイントを詳しく解説します。

許容可能な損失を決める
「大きな利益」を狙う前に「大きな損失を避ける」戦略を優先し、全資産の中で、1回の取引で失う可能性のある金額（リスク許容度）を明確にします。損失をコントロールすることが重要です。

その方法は損切り（ストップロス）の設定、レバレッジの適切な活用、ポジションサイズの管理、分散投資などがあります。

•  損切り（ストップロス）の設定
  損切りは、一定の損失が出たら自動的に取引を終了する仕組みです。
• レバレッジの適切な活用
  初心者は低いレバレッジで取引し、資金に余裕がある場合でも、無理のない範囲で利用する。
• ポジションサイズの管理
  1回の取引でどれだけの通貨を扱うか（ポジションサイズ）を適切に管理します。
• 分散投資
  一度に1つの通貨ペアに資金を集中させるとリスクが高まります。

感情的な取引を避けるために、計画的なトレードを心がけ長期的に安定した成果を目指し、無理のない取引を続けましょう。

テクニカル分析とファンダメンタル分析

FX取引では、主にテクニカル分析とファンダメンタル分析の2つの手法が活用されます。それぞれの特徴や使い方について詳しく解説します。

• テクニカル分析: 過去の価格データやチャートパターンを基に、今後の価格変動を予測する方法です。代表的なテクニカル指標としては、移動平均線、RSI（相対力指数）、MACDなどがあります。
  
  

• ファンダメンタル分析: 経済指標やニュース、政治的な出来事などを基に、通貨の価値が今後どう変動するかを予測する方法です。例えば、金利やGDP成長率、インフレ率などが重要な指標です。
  
  

多くのトレーダーは、テクニカル分析とファンダメンタル分析を組み合わせて取引を行います。

ファンダメンタル分析で経済、政策、政治的要因を分析し、通貨の価値を評価しテクニカル分析で過去の価格やチャートを分析し、売買タイミングを決めるなど両方の手法を適切に使い分けることで、FX取引の成功率を高めることができます。